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与信管理規程

与信管理規程とは

  得意先の取引額の拡大や新規得意先の開拓は、企業経営には欠かせませんが、その取引による債権が回収できなかったり、相手先が倒産してしまったのでは、元も子もありません。金額の大きさによっては、会社に与える損失も重大になり、会社の存続までも危うくしてしまいます。
 このようなリスクをできるだけ回避するために、得意先ごとに債権金額(売掛金)の限度額を定め、損失を最小限に抑えることを目的に、与信管理を行なっています。

 与信管理規程は、その設定や管理方法を定めますが、各企業の与信管理に対する重要度により、個々の債権金額が少ない会社などでは、販売管理規程の一部として条文化されるケースなどもありますし、債権金額が多額になる商社や、貸倒れが発生しやすい業種などでは、与信管理の重要度が高く、与信管理規程は独立して設けられ、マニュアルなども作成されています。

与信管理規程の体系 例

総則
与信限度額の設定・更新
与信管理
保全事項

 

与信管理のポイント

与信管理の流れ 例

 与信管理業務では、与信限度額の設定を行なう業務と、その限度額を超えないように運用する業務とがあります。

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与信限度額の決定

 与信限度額の設定は、新たな取引先開拓や大きな受注があった場合に、営業担当者等からの与信限度額の申請手続により行なわれ、一定の客観的な情報からの算定や外部の信用調査機関による調査結果からの算定などから、与信限度額が設定されます。
 与信限度額は、決裁者の承認により決定しますが、通常金額やリスクの重要性から、決裁者を職務権限規程に定めます。

信用調査の方法

信用調査の方法には、以下のような方法があります。

営業担当者による取引先のへの実地訪問(ヒアリング・決算書の入手)
会社案内やホームページからの情報入手
四季報や会社年鑑等による調査
銀行調査
興信所による調査
取引経験のある会社からの情報入手
業界・市場動向調査と現状把握
取引先幹部との友好関係の確立

 

与信限度額の変更

 与信限度額には有効期間を設け、その期間が満了したならば再度設定手続きを行い、定期的に与信限度額を見直します。もし、信用状態が悪化しているときには、減額もしくは取引の中止などの措置をとります。
 また臨時的には、予想していた取引額よりも、売上高が大きく伸びている場合にも、与信限度額の変更を行ないます。変更の決定に当たっては、現時点の信用状態を明らかにし、再度設定手続きを行なう必要があります。なお、この決裁は、当初の申請と同一の決裁者により受けることとします。

与信限度額の管理

 営業部門では、債権管理表などにより与信実行率や与信余裕額をチェックし、常に与信限度額の運用状況を管理する必要があります。
 与信限度額を慎重に行なう会社では、限度額の一定の割合(70~80%)を超えている取引先のリストを作成し、リストアップされた取引先の営業担当者へ、限度額超過の警告を発するなどの措置を実施します。

回収保全の措置

 回収保全の措置として、以下の措置があげられます。

与信限度額の見直し
出荷の制限または停止
保証人または担保物権の要求
現金による回収に変更
回収条件の変更
債権債務がある場合には相殺処理
納品商品の変換請求

 

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