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難易度の設定

等級・基準値を決める

 マニュアルの内容には、『求めるレベル・基準値』が明確に、書かれていなければなりません。これらが曖昧にされた内容では、その結果も自ずと曖昧になってしまいます。
 また、各業務の習得期間も合わせて決める必要があります。

業務等級表 例

等級 基準 習得期間
S  経営方針に従い、自らの責任により具体的な計画の立案を行い部下を監督指導しながら、高度な専門知識と豊富な経験をもとに行う、極めて複雑で困難な業務 5年
A  業務内容の全体を理解し、経営方針に従い高度の専門知識と豊富な経験をもとに、自らが中心となって判断や工夫を凝らし進める業務、同時に新人の監督指導もおこなう 3年
B  方向性や要点の指示を受け、若干の専門知識と経験をもとに、自ら計画・調整・対人折衝を行い、単独または補助者を指導しながら行う業務 1年
C  基本知識を備え、定型的または繰り返し的な動作・処理を一人で行う業務 6ヶ月
D  管理者の指示および定められた手続に基づいた基本的な業務、または補助 1ヶ月

業務基準値一覧 例

等級 業務名 基準値
D 売上伝票の分類 1時間当たり100伝票
C 経費伝票作成 1時間当たり30仕訳
B 月次決算伝票作成 1時間当たり10仕訳
C 仕訳伝票入力 1時間当たり50仕訳

 等級・基準値の確定の際には、前項の『業務分担表』などを参考にする。

習得評価管理表

 マニュアルの目的として『人材の育成・教育』も考慮しなければなりません。そこで、マニュアル本体の作成と同時に、習得度の管理とその評価を行う必要があります。

習得評価管理表 例

等級 業務名 習得項目
D 売上伝票の分類 標準時間内で分類ができる
C 仕訳伝票入力 消費税の非・不・課税の区分ができる
交際費・福利厚生費・広告宣伝費の区分ができる
正確な勘定科目を使用している
C 月次決算伝票作成 引当金の設定ができる
棚卸資産の評価ができる
連結決算ができる
B 仕訳伝票入力 1時間当たり50仕訳

作成ポイント

必要に応じ業務を更に細分化する
習得順に並べる(作業順ではない)
項目を『できる・している』にする
何を習得して欲しいか端的に書く(ノウハウや注意事項ではない)

 

 『習得評価管理表』は、新人教育における習得度の確認、業務改善ポイントの洗出しや内部監査でのチェックポイント、更には人事評価としても役立ちます。

業務改善

 『業務基準値一覧』と前項の『業務分担表』とを組み合わせ、業務分担の改善も行うと効果的です。
 上位職ほど等級の高い重要な業務を行わなければならないが、下位等級の業務も担当していることから十分な時間がとれなかったり、逆に経験の浅い社員に等級の高い業務を行わせていれば、大きなリスクに繋がりかねません。各人の担当業務の等級(難易度)がバラバラでは不効率で、企業不祥事の発生要因になる可能性もあります。
 各担当業務の難易度は出来るだけ揃えて、担当させるように業務配分を行います。

 

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