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自由競争の前提

自由競争社会とコンプライアンス経営

 近年、次々発覚する企業不祥事に対し、テレビや雑誌などでは『日本人のモラルの低下』『高品質といわれた日本製品は過去のもの』などと嘆いていますが、本当に日本人はモラルが欠如してしまったのでしょうか?

 我が国は永年に渡って、『利益が上がるならば多少の違法行為は許される』という経営風土があり、その中で談合などは『必要悪』として当然の様に行なわれ、時には政治家に調整役として金銭の授受が行なわれるなど、これらはいわば業界の慣習でした。
 正義感でこれを拒絶すれば、業界から排除されるはめとなり、談合は法律より遵守すべき慣習ともいえました。

 近年は、経済のグローバル化により日本企業は海外に進出し、上場企業に限らず、多くの中小企業が海外で事業活動を行なうようになりましたが、そこで多くの企業が訴訟により多額の賠償金を課せられるなどの、洗礼を受けました。
 それでも、日本国内は護送船団方式といわれるように、規制で守られていましたが、バブル崩壊後の規制緩和により、日本市場は自由化へと舵を切り、行政の調整・指導による誘導方式をやめ、民間各社の生き残りを賭けた自由競争の時代へと移りました。
 自由競争には、適正なルールとその厳守が保たれなければなりませんので、事実開示の透明性や取締りの強化を図る事が必要となり、日本版SOX法や公益通報者保護法もこの流れによるものだともいえます。
 また、企業では生き残りのため、リストラや派遣社員の活用を進め、社員は急速に会社に対する忠誠心は薄れていきました。

コンプライアンス経営

 

 結果、企業不祥事の大半が『内部告発』といわれるように、以前では家族的経営のもと内々で隠されていた不祥事が、次々と表に出てくるようになりました。今まで通りに、談合を行なっていたら、突然摘発されその罪を問われ、会社は市場から退場を求められる時代へと移ったのです。
 グローバル化による規制緩和、それに伴う法化社会へとの流れは、国際的に日本企業が生き残るためには避けらないものであり、その過程での不祥事多発は、今まで規制に守られてきた社会から法化社会に移るにあたり、その流れに乗り切れない企業で発生してしまうのは、ある意味当然ともいえます。

 このように、企業における犯罪行為そのものが増えてきたのではなく、日本人のモラルが低下したわけでもなく、国際化により、今までのやり方が通用しなくなった結果なのです。
 ダーウィンは、『この世に生き残る生き物は、最も力の強いものか。そうではない。最も頭のいいものか。そうでもない。それは、変化に対応できる生き物だ』と言いましたが、今これらの時代の流れに対応するために、コンプライアンス経営が、より重要性が高くなってきたのです。

 

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